介護施設内の転倒事故

 介護施設内での転倒事故はよくあります。
 介護施設内の転倒事故で施設側の責任が認められる場合はどのような場合でしょうか。

施設の責任が認められた例

 判例上、施設側の責任を認めたものとして、次のようなケースがあります。

デイサービスのトイレでの事故
 デイサービスでの事故。
 何かにつかまらなければ立ち上がることができず、杖をついて歩行することはできたが、不安定でいつころぶかわからない状態であり、職員もこれを認識していた。
 ところが、トイレに行く際に、利用者から、「自分一人で大丈夫」と言われ、一人にしたところ、転倒し、右大腿骨頚部内側骨折の傷害を負った。
 このケースについて、裁判所は、入り口から便器までの距離が1.8mあり、手すりがないので、利用者が杖を使って歩行する場合は、転倒する危険があることは充分予想しえたことなどを理由に施設側の責任を認めたものの、利用者は、このトイレを自ら選択し、トイレ内部での歩行介護を求めなかったことなどを理由に、利用者に3割の過失があるとしました。
介護老人保険施設内での事故
 パーキンソン病等で自立歩行が困難な患者が施設内で多数回転倒したため、居室を変更したりコールマットを敷いたりしたが、転倒を防止できず、認知症状、幻視、幻覚等があったところ、転倒して大腿骨転子部骨折となった例。
 このケースでは、裁判所は、施設側の見守り不足を指摘し、施設の責任を認めました。

 

施設の責任が認められなかった例

 これに対し、施設の責任が認められなかったケースとして、次のようなケースがあります。

老人ホームに入所中に転倒した例(指示に従わなかった)
 ほとんど全盲で、痴呆の状態があったが、介護者との意思疎通はでき、自立歩行が可能な状態の入居者。
 裁判所は、介護者の指示に従わずに居室を出て、自力で食堂まで歩いて行き、そこで転倒したものと思われるとし、施設側の責任を否定しました。
体験入居中の事故(転倒の予見困難)
 裁判所は、入所時、要介護2で、移動は自立の旨伝えられており、歩行が不安定であり、転倒の危険がある旨を伝えていず、それまで転倒もなかったことなどから、転倒の予見義務を否定し、施設の責任を否定しました。

 

弁護士にご相談下さい  

 このように、施設内で転倒事故が生じても、利用者の状況、介護者に伝えられていた情報等により、施設側の責任が認められることもあれば、認められないこともあります。
 このようなケースでお悩みの方は、医療過誤を扱う弁護士にご相談下さい。